お客様から、
「HPを見ました。SONY VAIOのWindowsVistaパソコンが2台有ります。これをWindows7へ、可能ならWindows10へアップグレードをお願いしたい。」
とのご相談で、来店され、お預かりしました。
SONY VAIO typeL VGC-LB92S:Core2Duo T5600 1.83GHz メモリ2GB(1GB×2)搭載、15.4インチディスプレイ一体型「持ち運べる」パソコンです。(2007年1月発売)
この機種は、ディスプレイ一体型でキーボードを折りたたんで、持ち運びできるデスクトップパソコンとして発売されたものです。
「WindowsVistaをWindows7へ、可能であれば、Windows10へアップグレードを、動作が遅いようならHDDをSSDに交換してください。」と、修理屋冥利に尽きるカスタマイズ依頼です。
CPUが少し非力ではあり、メモリも2GBと少なめですが、32bitのOSですので、何とかなりそうです。
併せてもう1台、モバイルPC「VGN-P90HS」も同様にVista→7へアップグレード依頼をいただきました。
ありがとうございます。
さて、この機種、WindowsVistaからWindows7へは、メーカーサポートはありません。
種々、トラブルが発生することが予想されますが、とにかくやってみましょう!
初めて触る機種です。
まずは、現在のVistaの状況を確認し、リカバリディスクを作成しておきます。
アップグレードを行うと、リカバリディスクは作成できなくなることが多いので、今のうちに…。
Vistaマシンに多いのが「Windowsアップデート未実施」です。
とにかく重い(時間がかかる)のでアップデートをされない方が多いですね。
この機種も、かなりのアップデートが溜まっていました。
HDDは「Hitachi製 SATA150:160GB」です。
このまま、アップグレード作業を行うには動作が遅すぎますので、SSDに交換して作業に入ります。
いつものとおり、「EaseUS ToDo Backup」でクローンを作成します。
SSDには「Transcend:240GB」を使用します。
無事にクローンが終わりましたので、HDDをSSDに交換ですが、この機種、HDDを取り出すのには「完全分解」が必要です!
スタンドを外し、取っ手を外し、背面のネジを外して、前面のパネルを外し、さらに前面のネジを外して、また裏返して内部カバーのネジをと、約2時間かかる作業です。
ネジの種類・数ともに膨大。
どこにどのネジが使われていたか、きちんと整理しながら分解作業を行います。
また、無線LANチップの速度が遅い(54Mbps)ため、この際、新しいチップに交換しておきます。
分解完了後の写真です。
いや、大変でした。
分解してみれば、普通の一体型デスクトップパソコンですね。(当たり前)
せっかく完全分解したのですから、CPUグリスを塗り替えます。
SSDに交換し、無線LANチップを取り替えて、組み立てです。
やはり2時間近くかかります。
では、電源を…。
おや、起動しません(゚Д゚)
と言うか、BIOSがSSDを認識していません。
取り付け方が悪かったのでしょうか?
再度、分解です(T_T)
また2時間近くかけて分解してみましたが、取り付けに問題はありません。
なのに、BIOSがSSDを認識しません。
「WD製」のSSDに変えてみましたが、やはり認識しません。
HDDは問題なく認識しますね。
まさか「相性問題」?
ネットでググってみると…。
出ました。この機種は「Crucial製のSSD」しか認識しないようです。
SSDの相性問題は初めての経験です。
問屋さんに在庫確認し注文です。到着まで作業は中断ですね。
その間にもう1台のアップグレードに取りかかります。
Crucial製SSD:MX300(275GB)入荷しました。
早速、マザーボードBIOSが認識するか検証したところ、問題なく認識します。
クローンを作成し本体に取り付けて電源を入れると、起動しました!
一安心です。
これで作業が続けられますね。
なお、最大搭載メモリが2GB(1GB×2)とのメーカー発表でしたが、試しに4GB(2GB×2)を取り付けてみると、問題なく認識しました。
(3.5GB程度です。マザーボードの制限ですね。)
気を取り直して、Vista→7へのアップグレード作業です。
この機種は、WindowsVista→7へのサポートが提供されていませんので、MicrosoftのWindowsアップグレードアドバイザーを使って、互換性を検証したところ、ほぼ問題なくアップグレードが可能です。
アップグレード完了です。
この後、現在までのアップデートファイルをインストールするのですが、そのままですと、3日3晩かかりますので、必要なアップデートファイルを「オフライン先入れ」して、時間短縮を図ります。
無事にアップデートも完了。
いよいよ、Windows7→10へアップグレードします。
完了しましたが、動作が非常に緩慢です。
ドライバソフトを再確認しましたが、問題はありません。
しかし、動作が遅く、とても実用にはなりません。
バージョンは「1607」、以前のバージョン「1511」なら、もう少し動作が軽いのでしょうが…。
Windows10はバージョンによってサポート期間が違います。
「1511:TH2」は次期バージョン「RS2」が配布されて半年後にサポートが切れることを考えると、「1511」を入れておく訳にはいきません。
残念ですが、Windows7でアップグレードは終了ですね。
あらかじめ作成しておいたバックアップからWindows7に戻します。
SSDの効果もあり、起動は約30秒。
快速です。各種ソフトの動作も全く問題ありません。
ご依頼いただき、ありがとうございました。
2019.12に同型機のWindows10アップグレード依頼を受けましたが、アップグレードできるのはバージョン1607までです。
1703以降のWindows10アップグレードは失敗します。
チップセットドライバの1703以降の対応がされていないようです。
残念です。
今回の修理代金は、以下のとおりです。
SSD代金 :15,000円
Windows7代金 : 5,000円
メモリ4GB : 5,000円
作業代(清掃作業含む) :23,000円
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計 :48,000円