お客様から、
「Toshibaのノートパソコンだが、子供が落としてしまった、しばらくは使えていたが、突然、電源を入れても反応しなくなった。販売店に持って行くと『マザーボード交換になり6万円以上かかる』と言われた。なんとか安く修理できませんか?」
との事でご来店です。
Toshiba dynabook T554/45KR Core i3-4005U(2コア4スレッド)1.7GHz搭載のノートパソコンです。(2013年10月モデル)
ACアダプターを繋ぎ、電源ボタンを押しても何の反応もありません。
考えられるのは、「落下によるHDDの損傷」、「マザーボードの損傷」、そして「内部配線の断線」です。
とにかく分解してみますと…。
ちょっと写りが悪く、見づらいのですが、DCジャック(ACアダプタの差口)から「マザーボードへ給電するためのケーブルが外れています。
ハンダ付けしてあるだけのケーブルが、落下の衝撃で外れたようです。
「しばらく使えていた」と言うのは、バッテリー駆動によって動作していたと思われます。
バッテリーが空になったので、起動しなくなった、と考えられますね。
これなら、マザーボードを交換しなくて良いかも知れません。
お客様には、お預かり修理となる旨、説明し、早速、ジャックを取り外してハンダ付け作業です。
写真のとおり、ケーブルが断線しています。
被覆を取り外して、新しい「熱収縮チューブ」を差し込み、DCジャックとハンダ付けします。
ハンダ付け時には熱収縮チューブにコテが当たらないよう注意する必要があります。
作業後、テスターで通電確認したところ、問題ありませんでしたので、元に戻します。
分解したついでに、CPUファンを確認すると…。
これはいけません、ファン出口がホコリで塞がっています。
これではCPUが熱暴走してしまいます。
ピンセットで取り出しました。
結構な厚さですね。
これでもう大丈夫です。
さて、元どおり組み立てて、電源を入れてみます。
起動出来ましたが、HDDにエラーがあるようです。(後で判明したのですが、Windowsシステムファイルに致命的な損傷がありました。)
起動も遅く動作が不安定です。
液晶パネルにスジ線が出ていますね。
パネルカバーの下中央付近を押すと、スジ線は消えます。
液晶パネルのコネクターが接触不良を起こしているのかと、パネルまで分解してコネクターを差し直してみましたが、改善しません。
どうやら、落下の衝撃で液晶パネル内部に接触不良が発生しているようです。
本来なら、液晶パネルも交換したいところですが、予算の都合上、今回は見送りです。
一旦電源を落として、HDDを取り出して、検証用のパソコンにて、健康状態を調べます。
HDDにエラーはありません。
使用時間も「3608時間」と5年前のパソコンとしては、使用時間も少なめです。
もう一度HDDを取り付け、念のため、Windows8.1インストールディスクから起動し、「chkdsk c: /r」コマンドでエラーを修正してみましたが、エラーは確認できませんでした。
通常起動した後、コマンドプロンプトから「sfc /scannow」コマンドを実行してみると…。
完了まで1時間を要しましたが、写真のとおり、「破損したファイルが見つかりましたが、それらの一部は修復できませんでした。」と表示されます。
Windows7なら、ここでお手上げですが、幸い、Windows8.1ですので「DISMコマンド」が使えます。
早速「Dism.exe /Online /Cleanup-image /Reastorehealth 」と入力し、システムファイルの修復を試みます。
3時間かかりましたが、「壊れたコンポーネント ストアは修復されました。」との表示。
安心して、再起動すると…。
「explorer.exe-システム警告 Unknown Hard Error(不明なエラー)」の表示が出ます。
「explorer.exe」ですので、「ファイルエクスプローラー」に不明なエラーが発生しているようですね。
「OK」を押すと、問題なく動作しているように見えましたが、エクセルやワードで新規シートを作成しようとすると、エラーが出ます。
また、「スタートボタンの右クリック」ができません。
セーフモードでは、問題なく動作しますので、「ユーザープロファイル」が破損している可能性も考えられます。
お客様とご相談し、リカバリすることにしました。(作業代は出血大サービスです(T_T))
Office Home&Business2013のプロダクトキーも見つかりましたので、データファイルを取り出し、リカバリー後に戻すことにしました。
不安定な動作状態で、「リカバリーDVD」を作成できたのは、非常に幸運でした。
なお、この機種、バッテリー及びHDDを取り出すには、裏のネジを全部外し、DVDドライブを取り外し、パームレストパネルを取り外す必要があります。
CPUはマザーボード直付けです。交換はできません。
パームレストを取り外すときには、タッチパッドのケーブルを断線しないよう注意が必要です。
DCジャックのハンダ修復作業だけの予定でしたが、Windowsシステムファイルに相当の不具合が見つかったため、リカバリ作業及びデータ復旧と、かなりの時間がかかりました。
リカバリ後は、それまでの不具合は全て改善され(当たり前ですが…)問題なく動作するようになりました。
納品時に、無線LAN設定及びNTTセキュリティソフトを再インストールして完了です。
ご依頼いただき、ありがとうございましたm(._.)m
今回の修理代金は、以下のとおりです。
DCジャックケーブルハンダ修復作業 :15,000円
データ移行作業(バックアップ・リカバリ):出血大サービス(本来なら2万円)
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計 :15,000円