お客様から、
「SONY VAIOのノートパソコンだが、ACアダプターの差し込む口が接触不良を起こし、電源が入ったり入らなかったりする、修理できるでしょうか?」
とのご相談で、お預かりしました。
SONY VAIO typeF VGN-FW72JGB:Core2Duo T8600 2.40GHz メモリ4GB搭載、16.4インチディスプレイのハイビジョンAVノートパソコンです。(2009年1月発売)
付属の「アンテナ変換ケーブル」及び「B-CASカード」を使うと、地デジの視聴及び録画ができます。
また、ブルーレイドライブが内蔵されている点も特徴の一つですね。
この機種は、WindowsVistaモデルでしたので、今年(2017年)4月11日で延長サポートが終了することをお伝えしたところ、「WindowsVistaから7へ、可能であれば、Windows10へアップグレードをぜひお願いしたい」とのご注文をいただきました。
ありがとうございます。
WindowsVistaからWindows7へは、メーカーサポートがありますので問題ありませんが、Windows10にアップグレードできるのでしょうか?
答えはやっぱり「やってみないと分かりません!!」
写真は、DCジャック交換後のものです。
ACアダプターを本体に差し込む部分(DCジャック)が接触不良を起こしておりましたので、交換いたしました。
これで、問題なく起動するようになりました。
交換したDCジャックです。
見た目には不具合はありませんが、ACアダプターを繋ぎ、テスターで導通を確認したところ、明らかに内部で接触不良を起こしていました。
本体から取り外し、ケーブルを交換(半田付け)作業です。
部品が小さいので、熱で壊さないよう注意が必要です。
さて、せっかく分解しましたので、内部の清掃も行います。
左が清掃前、右が清掃後です。
HDDの情報によると、使用時間は「2796時間」とかなり短いのですが、やはりホコリはそれなりに溜まっていますね。
CPUグリスも塗り替えておきます。
マザーボード全体の写真です。(清掃前)
画面サイズが大きいこともあり、内部配置は余裕がありますね。
CPUファンの左から上に見えるのが「DCジャック」の配線です。
取り外しには結構苦労しました。
DCジャック交換後、問題なく起動するようになりましたので、HDDの健康状態を確認します。
TOSHIBA製HDD:MK4058GSX、容量は400GB、使用時間は2796時間と年式の割には短いのですが、「SATA150規格」です。
HDDにセクターエラー等は発生していませんが、悪名高い「GSX型番」ですね。
残量が約90GBでした。動画ファイルがかなり保存してありますので、容量アップが必要です。
この転送速度では、Windows7やWindows10は厳しいので「SATA600規格」のSSHD:WD製WD10J31X(1TB)に交換します。
このSSHDはWindows10との相性も良く、起動速度の向上も望めます。
最近、価格が高騰していますので、人気のほどが分かります。
(主にPS4の交換用に使用されているようですね。)
オリジナルのHDDは「非AFT規格」、交換用のSSHDは「AFT規格」ですので、クローン作成前に「Intel RST」をインストールしておきます。
また、クローン作成時も一手間掛けてAFT規格に対応させておきます。
アップグレードの前に、現状のVistaの調整を行いますが、オリジナルには手をつけたくありませんので、いつものとおり、クローンを作成してから作業に入ります。
クローン作成後、Vistaの動作状況をチェックします。
まずはバージョンのチェックから…。
おや?Vistaは「SP(ServicePack)1」です。
Windows7へアップグレードするためには「SP2」が必須です。
Vistaユーザーの方には多いのですが、「シャットダウン」せずに「スリープ」状態のままお使いになっていたようです。
シャットダウンしないと「Windowsアップデート」が実行されない場合があります。
これは長丁場になりそうですね。
溜まっているWindowsアップデートを行い、セキュリティソフトが2種類インストールされているのが見つかったり、不要なアプリをアンインストールしたりと、結局、SP2になるまでにまる1日かかりました。
無事にSP2にアップデートしました。
この機種は、Windows7へのアップグレードに関して、SONYのサポートがあります。
SONY VAIOのHPから「VAIO Win7アップグレードユーティリティ:EP0000210670.exe」をダウンロードして実行し、指示どおりにドライバやアプリのアンインストール等を行い、準備完了。
続いて、Windows7 SP1インストールディスクから「setup.exe」を実行しアップグレード作業の開始ですが、DVDを認識できません!
内蔵のブルーレイドライブ(Panasonic製UJ230A)が故障しているようです。
交換用のブルーレイドライブを探しましたが、同等製品は「Panasonic製UJ260」です。
最新のドライブは高価で、この機種のソフトでは対応できない可能性があります。
UJ260は新品が入手困難ですので、中古品を手配しました。
ブルーレイドライブを交換後、Windows7上書きアップグレード開始です。
VAIO Win7アップグレードユーティリティを実行したのに、まだ、アンインストールの必要がありますね。
これも指示どおりに、アンインストールして、再度アップグレード作業です。
無事にWindows7にアップグレードが終わりました。
この後、「VAIO Win7アップグレードユーティリティ」の指示どおりに、ドライバソフトやアプリをインストールしていきます。
写真を掲載してはいませんが、この後、Windows7のアップデートを約250個実施しています。
いよいよ、Windows10へのアップグレード作業ですが、ディスプレイドライバに「ATI Mobility Radeon HD 3470」が使われていますので、念のため、純正ドライバを削除し、Windows10対応ドライバ(SONY純正ではありません)にインストールし直しておきます。
およそ半日かかりましたが、「バージョンRS1:ビルド1607」にアップグレードできました。
気になる起動時間ですが、WD製SSHDの効果もあり「約1分」で起動します。
試しに「Toshiba製SSHD:MQ01ABF050H」にクローンして使ってみましたが、起動時間は「約3分」。
起動後もHDDアクセスが100%になり、動作が重くて使い物になりません。
やはり、Windows10には「WD製SSHD:WD10J31X」が良いようですね。
なお、今回は「地上波TV視聴ソフト:GIGA Pocket Dijital」はお使いにならない、とのことでしたが、通常、メーカー提供の地上波TV視聴ソフトは、Windows10では動作しないことが多いので、TVが観たい方は、Windows7で運用されるか、サードパーティ製のチューナーユニットを使用されることをオススメします。
今回の修理代金は、以下のとおりです。
DCジャック部品代 : 5,000円
SSHD代金 :10,000円
ブルーレイドライブ代金 : 5,000円
Windows7代金 : 5,000円
作業代(清掃作業含む) :20,000円
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計 :45,000円