お客様が来店され、
「電源を入れると『Windows修復セットアップ』画面が表示されるが、全く前に進まない。修理をお願いしたい。」
とのことで、診断いたしました。
機種は「Fujitsu LIFEBOOK AH77/G」Core i7-2670M (4コア8スレッド)2.20GHz搭載の上級機です。(2012年発売)
まずは、現状把握のため、電源を入れてみます。
ちょっと、写りが悪いのですが(^_^;)
「スタートアップ修復」を促す画面です。
「トラブル解決ナビ」が起動し、スタートアップ修復を始めますが、一向に進展がありません。
「Windowsを通常起動する」を選んでも動作しません。
HDDに異常があります。
HDDを取り出して、検証用のパソコンに繋いで診ますと…。
Seagate社ST9750423AS:750GB、SATA300規格のHDDです。
「代替処理済みのセクタ数:1734(6C6:16進法)」
「代替処理保留中のセクタ数:32(20:16進法)」
「回復不可能セクタ数:32(20:16進法」
やはり、HDDに不具合がありますね。
動作状況から診て、HDDに物理的障害が発生しています。
特に、「回復不可能セクタ」があるのは致命的です。
お預かりして、HDD交換とリカバリ、可能であればデータの救出をします。
いつものとおり、作業前に「お立ち台」を使って、クローンを作成します。
最初は順調に進んでいましたが、途中で止まってしまいます。
やはり、セクタエラーがあるのでクローンはできません。
「HDAT2」を使えば、セクタエラーを回避できますが、HDDを壊してしまう可能性は否定できません。
クローン先のHDDを検証すると、「リカバリ領域」はクローンできていますので、試しに「D to D」リカバリを試してみると、可能であることが分かりました。
これで、リカバリディスクを購入しなくても済みます。
お客様の負担を減らすことができます。
HGSTの1TB(AFT:左)に交換します。
オリジナルは750GBでしたので、余裕ができますね。
このHDDは「3年保証」がついています。
通常の使用で不具合が出た場合は、無償交換(データは保証対象外)できます。
お立ち台でクローンしたHDDでリカバリ作業を行い、その後、このHDDに再度クローンします。
オリジナルHDDは「非AFT」でしたので、一手間かけてAFTに対応させます。
Fujitsuのパソコンは起動時に「電源」ではなく「サポート」ボタンをおすと「トラブル解決ナビ」が起動し、Cドライブのみリカバリーが可能になります。
今回は、これでリカバリー作業ができました。
さて、「D to D」リカバリも無事終了しましたので、5年分の「WindowsUpdate」を行います。
リカバリ後、Windowsアップデートを行うと、大量のファイルがダウンロードされます。
そのままアップデートを実行すると、「更新ファイルを検索しています」画面のまま、かなり長時間(最長三日三晩)かかります。
まるで、フリーズしてしまったかのようになり、時間がかかりますので、一手間かけて、時間を短縮させます。(2018年2月現在は、このようなことはありません。)
Windowsアップデートに時間のかかる原因は「アップデートエンジン」が頻繁に更新されているためで、最新のアップデートエンジンを先にオフラインインストールすることで、この現象を回避できます。
2016年9月と10月にまた新しいアップデートエンジンが配布されていますので、これをインストールします。
実は、10月のアップデートエンジン配布を見逃していて、これに気がつくまで、かなりのエラーと格闘する羽目になりました(T_T)
今回は2日間かかってしまいました(反省)。
かなり苦労しましたが、Windowsアップデートも全て終了しましたので、Fujitsu提供の「アップデートナビ」で更新ファイルの確認を行います。
BIOS更新がされていませんでしたので、この際、行っておきました。
今回は、運良く「D to Dリカバリー」ができましたが、将来HDDに障害が発生した場合に備えて「リカバリーディスク」を作成しておきます。
これで、何かあっても安心ですね。
以前は付属していた「リカバリーディスク」ですが、最近は、ユーザー自ら作成することになっています。
まだ、作成しておられない方、必ず作成してくださいね。
作成方法が分からない方、当店にご相談ください。
さて、お客様に確認したところ、セキュリティソフトは「Windows Diffender」をお使いとのことでしたので、無料で高機能の「AVG」をインストールしておきます。
最重要事項の「データ救出」ですが、なんとかCドライブ内のユーザーフォルダから救出し、またDドライブに保管してあった各種ファイルも取り出すことに成功しました。
(ビデオファイルが1個だけ破損しており、救出不能でした。残念です。)
無線LANやプリンター・メール設定は納品時に行います。
今回の修理代金は、以下のとおりです。
HDD(1TB)代金 :10,000円
HDD交換作業一式 :10,000円
リカバリ作業一式 : 5,000円
------------------------------
計 :25,000円